キミを奪いたい
言われた直後は気にしてずっと考えていたけど、一夜明けた今ではリョウの家の事を悩むのはお門違いかもしれないと思うようになった。
婚約者である彼女は私がリョウとやり直すかもしれないと勘繰っているようだけど、別にリョウから復縁を迫まれたわけでもない。
ただ、ちょっと思わせぶりな事を言われただけ。あの時キスされたのは、きっと酔ってたからだろうし。
そう。だから、私が悩む必要なんてないんだ。
リョウと私が住む世界が違う。
婚約者に拉致されてある意味良かったのかもしれない。
今ならまだこの想いに蓋をする事が出来るから。
────そう思ったのに。
リョウはなかなか忘れさせてはくれなかった。