実は人じゃないんです

「なんで、泣くんだよ」


同情なんかしないでくれ
俺はただ死にたいだけなんだ
消えたいだけなんだ




「だって・・・」







「アオイが泣くから・・・」






「は・・・？」






（え・・・？）
ポタポタと流れ落ちるしずく

俺の目から流れ落ちておちておちて

止まらない


「な・・んで・・・」




（なんで、なんて。本当は自分の中でわかってるんじゃあないのか）


「アオイ」


ヒナタの涙を含んだ優しい声が俺を呼ぶ

「・・・？」

「アオイ」

「・・・なんだよ・・・」

「アオイ・・・」

「だから、・・・なんｄ」






「アオイは今、生きてるよ」





（え・・・？）
「・・・そんなの当り前じゃないか」

ヒナタが俺を助けたんだから





「でも、私が助けなかったら。あなたはここにいなかったかもしれない」






わかってる
俺はそれを望んだ






「ひとりじゃないってこと。まだ気が付かないの？」





「・・・ヒナタには家族がいるからひとりじゃない。だろ、でも俺は・・・姉ちゃんがいなけりゃひとりだ」













「ひとりじゃないよ」














ヒナタは涙を流したままなのに強い言葉を放った

「何度言わせればいいんだよ。俺はひとりだ」











「私がいる。」










「あなたが死んだら、私が悲しい」








（俺が死んだら・・・？）





「ひとりぼっちな人なんていない。家族がいなくなったって、私はアオイに生きてほしい」




（生きてほしい・・・？）


なんで俺なんかが

生きてたって意味ないじゃないか










「私は死なないから。約束する。だから、アオイはひとりじゃない」










『”私がいるから”』










「・・・う・・・」






「わかった？」


「・・・うあぁぁぁああああああああああああああああああああああああ」







止まらない

涙

涙

涙






（・・・俺は『　”ひとりじゃない”　』）





君がいる