最初で最後の恋だから。ーセンセイー
夏休みがおわるとすぐ進路希望調査があった。

希望クラスを調査するものだ。

進学、国際、デザイン、事務、経理の中から希望するクラスを書いて提出するのだけれど就職するか進学するかに関わってくるため慎重に考える必要があった。

(伊藤先生に相談してみよう)

先生に逢うのは進学合宿以来で久しぶりだった。

放課後、職員室を覗いたら居なかったので国語科準備室に向かった。

「伊藤先生。」

「どうした?」

「進路希望調査の事で、話を聞いて貰いたくて・・・。』

「迷ってるのか?」

「はい。」

「ご両親と話はしたのか?」

「・・・いえ、まだです。」

「じゃあまず話してごらん。」

「話しても聞いては貰えないです。」

「ちゃんと話せば。」

私は先生の言葉を切った。

「進学にしても就職にしても自分が気にいるところじゃなかったら認めて貰えない・・・っ!!」

先生はポンポンと頭をなでてくれた。

「お前は、自由なんだ。
お前の未来を作るのはお前自身で親じゃないから。
だから、納得してくれるまで話すんだ。
・・・夢があるんだろう?」

「私の夢・・・。」

私の中にある小さな夢。

(スクールカウンセラーになりたい。)

「ここからはご両親に話した先の話だが。」

「俺は国際クラスがいいと思う。」

「国際クラス?」

国際クラスは英語や中国語などの外国語に特化したクラスだ。

卒業後の進路は就職、進学が半々だったと記憶している。

「お前の弱点を克服するのにいいんじゃないか。」

「弱点?」

「コミュニケーション。
聞き上手も大事だがそれだけじゃカウンセラーにはなれないからな。
思っている事を伝える能力も必要だろう。」
チャレンジ精神も養えると思うし。
お前にとって進学クラスより学ぶものはあると思う。」

「そうかもしれないですね。」

先生と話すと見えなかったことが見えてくる。

「ありがとうございました。」

「また、いつでもおいで。」

先生が優しく笑う。

こんな時の先生はいつもの教師の顔じゃなくて少しでも近づけたんじゃないかと錯覚してしまう。

(ダメなのに)

先生。
私はやっぱり先生が好きみたい。


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