午前0時のシンデレラ

「一条社長は、初めてお会いした際にはあまり乗り気でもなかったようなので、正直諦めてもいたんです」

そう漏らすのに、「くっ…」と、小さい笑いが口をつく。

「あ…申し訳ありません! よけいなことを申しまして」

恐縮する相手に、「いや、いい」と首を振って、

「……初めて会った時とは、俺もいろいろ事情が変わったんでな」

と、笑って見せた。

「……ご事情がですか?」

「ああ、こっちのことだ……」

再び握手をして、クライアントと別れた。

ふっと笑いが漏れて、こんな風にも俺の日常を変えてくれた彼女のことが思い出されると、ただ愛しく胸が高ぶるのを覚えるようだった……。



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