午前0時のシンデレラ

パーティーが明日に迫って、彼女にメールを送った。

「承知しました。よろしくお願いします」

返信はごく事務的な短いもので、ひどく素っ気なさを感じた。

「……俺に興味もないのかよ……」

呟くと、息を吐いた。

イスを回して、背面がガラス張りの社長室から見える夜景に視線を移す。

「……そっちがその気なら、この俺が落としてやろうか……」

全てを屈服させてきたはずの自分に、なびかない彼女に、にわかにそんな気持ちが湧いた。

(俺が本気になれば、落とすぐらいはたやすい……)

そう考えて、本気で好きかどうかもまだわからないのに落とすことを考えるとか……一体自分は何を考えてるんだと、頭を振った。

「……でも、少しだけ本気になってみるか……」

口にすると、

「……落とした後のことは、それからまた考えてもいいし。こんなに気持ちが高ぶるのも、なんだか久しぶりだしな……」

夜景を見下ろしながら、どこか楽しくもなってくるようで、軽い笑いが漏れた。


< 40 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop