午前0時のシンデレラ

頼んだワインで乾いた口を潤して、

「……違う。社交辞令なんかじゃない……」

と、胸の内を絞り出すようにも喋った。

「……でも、だったらどうして? 社長が私をデートに誘われる理由なんかは……」

「……ある!」

話の途中で遮って、つい大きな声を出して、

「あ…すまない」

と、口を押さえた。

「……理由は、あるだろ」

声を落として、それだけを言う。

「……えっ、どんな……」

本当にわからない様子で見つめるのに、

「……君が、気になるからだろ…」

ボソリと言う。


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