午前0時のシンデレラ

約束の日、早めに仕事を片付けてレストランに出向くと、彼女は既に席で待っていた。

来てくれたことに安堵して、こんなことにすらホッとしているなんて、本当に俺はどれだけうぶになってんだよとも思う。

「……今日は、来てくれてありがとうな」

テーブルに着いて言うと、

「いえ…私の方こそお誘いをいただいて、ありがとうございます」

と、彼女は微笑んだ。

やっぱり可愛いんだよなぁ…と、その顔を見つめて、

「いや、デートの誘いを受けてもらって、嬉しいよ本当に…」

口にすると、

「…デート?」と、不思議そうに訊かれた。

「え…デートだろ?」

と、思わず聞き返す。

「……パートナーのお礼だって言われてたので、社交辞令かなと…違ったんですか?」

そう言われて、言葉に詰まる。




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