俺たちは研究所に戻らない
■逃亡




5月中旬、地下研究施設。

実験室から抜け出す、一人の少女がいた。



壁をよじ登り、走り続ける。

時折 足を止めて振り返るのは、
追う者がいるからだ。


「待ちなさい!」

「くそ、なんて速さだ…!」


研究員は次々に息を切らして座り込む。

進化の一歩先を行く少女を捕らえるなんて
普通の人間には到底無理な話だ。

とうとう、少女の姿は見えなくなった。







「アレを野放しには出来ないだろう。」

「室長に報告しなければ…。」


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