年下属性はありません!
「お疲れ様です!」

私は元気に挨拶して塾のドアを開けた。

「お疲れ様です,木村先生」

高山先生がにこやかに挨拶してくれる。

高山先生は,30代後半の女性で,ここの塾の塾長だ。

といってもフランチャイズの塾なので,雇われ塾長だが。

女性の上司は本当に助かる。

男性には分からない,細やかな気遣いをしてくれるし,話も合う。

そして何より,一番の天敵である恋愛関係に発展することもない。

ここで私は毎日心穏やかに過ごそうと思う。

塾長以外に男性の先生もいるが,私と塾長以外はアルバイトの大学生の先生だ。

花も恥じらう18歳じゃないが,二十歳になるかならないかの男の子と三十路の女では恋愛に発展するなんておこがましいことは考えられない。

相手の立場で考えれば,大学生の子ならば,大学に行けばいくらでもきれいな女子大生がいる。

大学に行かなくても,ここの塾の女子大生の先生もみんなかわいい。

もっと言えば,中学生の子も小学生の子もかわいい。

中には「先生かっこいい!」なんて言ってる女の子もけっこういる。

ただでさえキラキラしてる女の子に,そんなこと言われたら,男の先生もメロメロだろう。

うん,わざわざ三十路に惚れることは絶対にない。

美魔女と呼ばれるようなキレイな30歳ならともかく,私は今までろくに付き合ったことがないことを除けば普通の30歳だ。

あれ,普通っていうのもおこがましい?

30歳になったし,もうあんな馬鹿な恋に身を焦がすのはごめんだ。
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