年下属性はありません!
出会い
一年生の頃,俺は荒れていた。

正確には,俺じゃなくてクラスが荒れていた。

授業を聞かないのは当たり前,積極的に妨害する奴が数人いて,先生もかなり手を焼くクラスだった。

小学校とは違う中学校という世界,俺も大人になった気がして,周りの奴らと一緒に騒いでいた。

「勉強なんてやってらんねーよ」

そんな態度がかっこいいと思っていた。

小学生の時には勉強なんてしなくても成績はそこそこ良かったが,そんなクラスで成績が良いわけもなく,通知表を見た親は顔色を変えて,俺に問い詰めた。

俺の父さんは警察官で,俺にとって世界一怖い。(ちなみに父さんが怖いのは母さんだそうだ)

「和也,なんだこの成績は。授業についていけてないのか」

その時,クラスが荒れていることと,俺も一緒になって真面目に授業を受けていないことを白状して,しこたま怒られた。

怒られただけでなく,将来中卒だとどうなるか,今の勉強がいかに大事か延々語られて,俺の意識は変わった。

本気でやべぇ

今,一年の授業は正直ほとんど分かっていない。

このままじゃ中卒ニート・・・とはさすがにならないだろうが,ろくな高校には行けないし,そうなると職業の選択の幅も狭まる。

自分で起業でもしない限りは,給料もろくにもらえない会社に死ぬまで務めることになる。

どうしたらいいか分からなくて落胆しているとき,母さんが近所にできた塾のチラシを持ってきてくれた。

「和也が本当に今のままじゃいけないと思うなら,塾に行ったら?」

塾?バスケや友達と遊ぶ時間がなくなる・・・

と思ったが,

「まずは無理のない範囲で行ったらいいじゃない。どうしても他のことがしたいなら辞めたらいいわ。」

と言われてとりあえず行ってみることにした。
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