人間発注書
新人は瞬きをしながらそう聞いて来た。


もちろん、瑠菜には会いたいと思う。


けれど瑠菜に会ったって瑠菜はまた無理をして笑うだろう。


本当の所を聞けずじまいなことは目に見えている。


「あれからずっと考えていたけど、瑠菜は村山を知っているとしか思えないんだ」


「あぁ。それは俺もそう思う。あのオッサンの車が通ってすぐに倒れたんだろ? おかしいよな」


「だから、村山の家を訪ねてみるんだ。瑠菜がもし……『人間発注書』に名前が乗ったりしたら、村山が購入するかもしれないし」


言いながら、俺は吐き気を抑えていた。


あの薄汚い男が瑠菜を自由にするなんて思ったら、気持ちが悪くて仕方がない。


「瑠菜ちゃんと買わないでくれって言いに行くのか?」


「それは……」


できればそうしたいところだ。


けれど、言えるかどうかわからない。
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