人間発注書
「やばっ」


と呟いた次の瞬間、ロッカーの上に積み重ねられていたPOP類がバサバサと落下してきた。


事務所内を少しでも広く使うため、ロッカーの上には店に使用するものを積み重ねておいてあるのだ。


段ボール箱の上に無造作に置かれているPOPは、こういう時によく落ちて来るのだ。


その存在をすっかり忘れてしまっていた。


帰る前に仕事が増えてしまった俺は深いため息を吐き出した。


しゃがみ込み、事務所の床に散らばったPOPをかき集めてく。


「なんだよこれ、掲載期限切れてんじゃん」


POPの下には掲載する期間が書かれているのだが、いくつかのPOPが使用されることもなく機嫌切れになっていた。


ブツブツと文句を言いながら機嫌の切れたPOPをゴミ箱へ投げ入れて、片づけて行く。


すべてのPOPの片付け終えた時、ふと事務所の端に黒いバインダーが落ちてるのが見えた。


あれもロッカーの上から落っこちて来たのだろう。


事務所の床にバインダーを置きっぱなしにする人なんてきっといないだろうし。
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