人間発注書
「どうやったら伸紀を助ける事ができると思う?」


そよそよと風が吹いて来た所で、俺はミホコにそう聞いた。


ミホコはチラリとこちらを確認して「今日みたいなやり方じゃダメだと思う」と、答えた。


それは俺も同意だった。


俺と伸紀が無茶な事をしたせいで施設側も警戒しているだろう。


「あの腕時計は一体なんだったんだ?」


「あれも気が付いた時にはもう腕につけられてたの。施設を出る時に外されたけど、小さな鍵が必要だった」


「鍵か……」


その鍵が安易に手に入るとも思えなかった。


「とにかく、必要そうな道具を買いに行こうと思うんだ」


俺はそう言って立ち上がった。


縁側は風が通って心地いいけれど、いつまでもここでのんびりしている暇もない。


「道具って?」


ミホコにそう聞かれたので、俺はポケットに入ったままになっていたナイフを取り出してみせたのだった。
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