sweet voice
直接会ってきちんと謝りたくて、荒井さんに何度もいろんな方法で連絡した。


でも、コール音がしても電話には出てくれず、留守録にメッセージを残しても折り返しはなく、メールの返事もなく、メッセージは既読にならなかった。


いてもたってもいられなくて、荒井さんが東京へ戻る28日、私は午後から有休をとって、品川駅の新幹線改札口で待っていた。


待って待って待ち続けて、午前中に戻ってきたのかもとあきらめかけた16時すぎ。


スーツケースを持った荒井さんが、改札口にあらわれた。


「荒井さ・・・」


声をかけようとして、フリーズした。


荒井さんの隣には背の高い美人がいて、荒井さんは何か話しかけると、その人から荷物を受け取って肩にかけた。


そっか、そうだよね。


私は自分に言い聞かせながら、トボトボと家に帰ったんだ。


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