sweet voice
「少々お待ちください」


紙を引き寄せるような音がする。


「お待たせいたしました、ご注文ありがとうございます。


こちらですが、ケースが通常と比べて多かったものですから、保留にしています。


何ケースに変更いたしますか?」


「30ケースに変更をお願いいたします」


「かしこまりました、30ケースですね」


「ありがとうございます、よろしくお願いいたします。


それでは、失礼いたしま・・・」


「あの、藤原さん」


「はい?」


電話を切ろうとしてる私をさえぎるように、荒井さんは私の名前を呼んだ。


「僕、以前に藤原さんへ名刺を渡しましたか?」


「いえ、頂戴しておりませんが」


「では、どうして僕あてにお電話してくださったんですか?」


「すみません、お恥ずかしい話なんですが、後輩が数量をいくつかミスしまして、後輩からお名刺を借りて、手分けして電話をかけている次第です」


< 8 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop