晴れのち曇り ときどき溺愛
 営業課の一員として営業している時は自分の仕事に誇りもあったし、自信もあった。プレゼンの前の日は興奮して眠れないほどワクワクしたし、どうやってプレゼンを成功させようかと考えるのも楽しかった。数字は厳しかったけど、その分遣り甲斐もあった。

 今は勉強用の資料を見るだけで今は精一杯。二日目だから仕方ないと分かっている。でも割り切れない思いはあった。


「梨佳。困ったことがあれば俺が居ることを忘れないで」

「ありがと。琉生も今度のプレゼン頑張って。で、請け負ってきてよ。琉生なら大丈夫」


「だといいが。あ、そうだ。
 梨佳の探す資料の一覧を見せて。俺、一時間くらい前からここに居るから段ボールの場所とか梨佳の役に立てるかも。俺の資料はもう少しで終わるから梨佳の手伝いをする」


「いいよ。自分でする」

「遠慮するなよ。俺との間で遠慮はなし」


 そんな話をしていると急に資料室のドアが開き、中に入ってきたのは下坂さんだった。下坂さんは私と琉生の姿を見つけると、静かに私を見つめた。琉生は資料室に入ってきた下坂さんの姿から目を離せないようだった。あの居酒屋で会ったのが最初。きっと、何でここに下坂さんがいるのか分からないのだろう。


「諸住さん。今から営業会議をするから戻れる?」
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