晴れのち曇り ときどき溺愛
「拳の近くには遥がいるでしょ。遥が上手に軌道修正してくれるって」

「遥は悩む俺を罵倒する。きっと」


 いつもはおっとりとして可愛らしいのに、何かのスイッチが入ると遥は急に男前になる。実際に仕事を辞め、家事育児を頑張っていた遥を口説き落として自分の手伝いをさせるようにしたのは拳だった。遥が拳の仕事を手伝うようになってから業績は鰻上り。発注もひっきりなし。

「遥に怒られながら、馬車馬のように働くんだろうな。俺」

「そのために社会復帰させたんでしょ。責任取らないと」

「頑張るよ。S&Sで仕事をするようになったら、琉生や梨佳とも会えるな」

「どこの課の依頼なんだろ」

「まあ、どこでもいいが」


 店を出たのはそれから一時間くらいしてからで拳は少しだけ穏やかに笑っている。私も拳と琉生と飲んでよかった。歓迎会が終わった時のあのままの気持ちで自分の部屋に帰ったら眠れなかったかもしれない。


「梨佳。あのさ」


 拳と別れ、一緒に駅までの道を歩きながら琉生は甘い声を響かせた。お酒を飲んだからだと思うけど少し甘えたような声にいつもの琉生との違いにドキッとしてしまう。


「なに?」

「あのさ……。あの、男のこと。まだ気になっているのか?」

「何のこと?」
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