晴れのち曇り ときどき溺愛

お祝いの夜 

 仕事が終わって私が急いだ先はデパートだった。買うのは勿論、今度のパーティに着て行く服だった。買う時は進藤さんが付いてきてくれると言っていたけど、まずは自分で行ってみて、値段なんかを調べてからに進藤さんに頼もうと思った。進藤さんが選んだものがいくら良くても自分のお財布と相談しないと買うことは出来ない。


 軽い気持ちでデパートに行ったのはいいが、現実は厳しかった。

 一般のフロアにはパーティに着て行くような服はある。でも、そのどれもが結婚式に着て行くようなものばかりで光沢のある布地の物が多い。黒とか紺のものであってもどうも造りが派手だった。創立記念のパーティに着るようなものとこれが一緒なのかどうかさえ分からない。


 有名ブランドのブースの中にある服は値段の桁が一つ違い、私には手が届かない。一着で私の一か月分の給料の殆どが飛ぶ。それに着こなす自信もない。


「どうしようかな」

 自分の部屋に戻っても考えるのは服のことばかりだった。本当なら新規プロジェクトのことを考えないといけないのに、悩むばかりだった。


  


 
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