晴れのち曇り ときどき溺愛
「それならよかった。俺も似合っていたと思う」


 お姉さんが居ないというのには驚いたけど、きっと私に負担を掛けないようにと考えてくれたことだろうと思った。でも、あのドレスを下坂さんはどんな思いで選んでくれたのだろうかと思ってしまう。私に似合うようにと探してくれたのか、とりあえず急な話だったので迷惑を掛けないようにかもしれないけど似合うと言ってくれたのは嬉しかった。


「ありがとうございます」

「パーティに無理やり誘ったのは俺だし。本当に助かったよ」


 二人でコーヒーを飲みながら傍に居ると緊張はする。でも、一緒に居る時間が緩やかで落ち着くと思ってしまうのはきっと下坂さんが普段と変わらないからかもしれない。

「明日から忙しくなりますね」

 明日の月曜日の10時からは新しいプロジェクトの会議が入っている。下坂さんと見城さんのコンビになぜか私というお荷物が入ってのプロジェクト。私より斉藤さんの方がいいのではないかと思ったけど、仕事を与えられたのは私だから頑張らないといけない。


「このプロジェクトは絶対に形にしたいと思っているし、負けたくない」

「ついていきます。頑張ります」


 私がそういうと下坂さんはクスッと笑った。


「自分の言葉には責任を持てよ」


 私が頷くと、下坂さんは満足そうに微笑んだ。


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