晴れのち曇り ときどき溺愛
 エレベータールームにある案内にしたがって歩いて行くとそこには私のこれからのオフィスとなる『第一営業課システム課』があった。六階で降りたのは私一人で、その他はまだ上階に上がっていく。その顔の面々は社内でも有数の成績を誇る社員だった。


 上層階ほどエリートが集められているのかもしれないと思いつつ歩いて行くと、廊下の一番奥のドアに『第一営業課システム管理課』というプレートを見つけた。その下には管理者のプレートを入れる場所もあるけど、そこにはまだ誰のプレートも置かれてない。


「失礼します」


 マホガニーのドアをノックして開けると誰も居なかった。スチール製のビジネスデスクではなく、デザイナーズ系のデスクが並んでいる。パソコンをメインで使いやすいようにかもしれないけど、手前の方が緩やかなラインを描いている。

 プリンターにスキャナー。コピー機などが揃っている。机にはパソコンが備えつけられていた。


 壁際の本棚にはデザイン系の専門書が並び、システム系の専門書は二段に分かれて置かれてある。営業課と一応名前がついているけど、今までとは全く違うということがそこだけで分かる気がした。綺麗なオフィスだけど自分が場違いな場所に来たと肌で感じた。段ボールを持ったままオフィス内を見ているとノックされて入ってきたのは見たことのない人だった。


「君だけ?」

 銀縁の眼鏡を掛けた難しそうな表情をした男の人は私を見つめていた。
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