晴れのち曇り ときどき溺愛

新しい環境

 第一営業課システム課は六階だった。六階に行くためにエレベーターに琉生と一緒に乗るとまだ数人しか乗ってなかった。でも、一階昇るごとに段ボールを持った人が乗ってくる。

 その度に少しずつエレベーターの奥の方に追われるように押しやられていった。人が乗るのも限界に近付いた時にエレベーターは四階に到着し、琉生は私の方をチラッと見て、『メールするから』と唇を動かしてから降りていった。琉生の第三営業課は四階だった。そして、システム課のある六階に到着した。

 
 吸収合併が決まり、土日の間にシステム課のある六階は綺麗に改装されていた。社内の配置転換やインフラ系の整備をすると聞いていたけど、一度には出来ないので、上層階から順次整備される。でも、ここまで綺麗になっているとは思わなかった。


 敷き詰められた絨毯はフカフカでその先にはマホガニーのドアが並んでいる。


 六階は玲奈たちが働いていた秘書課があった場所で取締役個人のオフィスが並んでいた。でも、つい最近まではどこにでもあるようなスチール製のドアがあっただけで、上質の木製ドアなんてなかった。床も普通のビニール素材のものだったのに、今は絨毯が敷き詰められている。


 全く違う場所になっていた。
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