魅惑への助走
 ……。


 「へえー。あいつ、明美がAV女優だって誤解してるんだ」


 「びっくりしました。確かに竹田朱実ちゃんとは、同姓同名で年齢も一緒、経歴も酷似しているとはいえ」


 「こんないやらしい体をしていれば、AV女優と間違われても仕方ないかも」


 薄手のパジャマの上から、両手で体のラインをなぞられる。


 「冗談はやめてください。……私、竹田朱実ちゃんほど巨乳じゃないのに、どうして間違うんでしょうね」


 「確かに不思議だよね。何度も触れて、形も大きさも感触も味も知り尽くしているはずなのに。俺なら絶対に間違わない」


 体のラインをなぞっていた両手が、いつの間にか左右の胸を鷲掴みにしていたので振り解いく。


 タクシーで葛城さんの部屋にたどり着くと、夜の街を彷徨っていて体が冷え切ってしまったためまずシャワーを浴びた。


 今日は葛城さんはイベントに出席していて疲れていたし、私もさっきの一件で精神的に参っていたので、早く寝ようとすぐにベッドに入った。


 そして互いに温もりを感じながら、今日の出来事を葛城さんに伝えている最中。
< 499 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop