魅惑への助走
　この作品は榊原先輩脚本で、放映時間約一時間の長編作品。


　アダルトビデオにありがちな、ただ性行為のシーンが延々と続くだけの内容とは異なり、SWEET LOVE作品にはある一定以上のドラマ性が求められている。


　「ちょっと大人なシーンの多い恋愛ドラマ」を標榜し、一般の女性たちが気軽に見たり購入したりできるように。


　今までのアダルトビデオの概念の殻を破る、ドラマ性の高い作品を目指している。


　榊原先輩もまた元・小説家志望だったため、レベルの高い（時には難解な）作品も製作可能。


　今回佐藤剣身が演じるのは、プロ志望のインディーズミュージシャン。


　ずっと前から彼を支える恋人がいるにもかかわらず、メジャーデビューの話に目がくらんだ彼は、パトロンに名乗りを上げた金持ちマダムと……。


　マダムはかなり年上ということで、大ベテランの30代女優が演じている。


　ためらいを感じつつも、成功のためと割り切って愛していない女を抱く無名ミュージシャン。


　行為の前の躊躇と、行為が始まってから生じる征服欲はあまりに対照的で、そしてリアルで。


　つい夢中になって、画面を魅入ってしまった。
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