魅惑への助走
 現段階では様々な男優さんに声をかけて、都合が合えば仕事を依頼するパターン。


 なかなかこっちの思うようにはいかないことも。


 SWEET LOVEの撮影は、男性向け作品よりもどうしても時間がかかってしまうので。


 たくさん作品に出て稼ぎたい人からは、敬遠されることも多い。


 男性向けよりは台詞も多いし、ドラマ仕立てゆえ本番シーンまでの前置きが長いので。


 「こんなのやってられるか」って、二度と出てくれない人も。


 女性視聴者からの評判は上々なのに、肝心の男優からなかなか理解を得られず大変だ。


 「早く専属男優を、見つけなくては」


 松平社長は焦っている。


 未だSWEET LOVE専属第一号の専属男優、すなわち「ヴィジュアルモデル」は見つかっていない。


 公募はずっと続けているのだけど、「該当者なし」な状態が続いている。


 妥協したくはないとのことで、審査基準を厳しくしている。


 社長はハードルを下げない。


 全ての条件を満たした絶対的エースには、まだ巡り会えていない。
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