魔王木村と勇者石川
「盗まれたということか?」
あらあら。話は何だか大きくなってる?
いやー、なんとも気づくタイミングすごく悪い二人だこと。
「その可能性が高いな、鎌田王」
「鎌田くん、心あたりある?」
「いや、そのリュックは俺のじゃないし」
「だな」
「つまり、魔王と勇者のリュックを持って城内を逃げ回ってる犯罪者が、この城にいると、そういうことか」
「そうだ」
人の王の見解に同意する勇者。
そして、重々しい雰囲気をさらに加速する一言を魔王が放つ。
「………まだ、帰ってこないね」
魔王の言ったそれが、誰のことを指しているかは明白だった。