同居人は国民的アイドル
その瞬間。
「……ふっ」
アイドルスマイルから一変、私がよく知る、いつもの意地悪そうな顔に変貌した。
「えっ!?」
慌てて目を擦ってもう一度見ると、その顔にはもう爽やかな笑顔が浮かべられていて。
だけど絶対見間違いなんかじゃない。
あいつ………………絶対確信犯だ。
「もう…………」
相変わらずの廉くんにため息が漏れる。
こんな時でもオンとオフを切り替えるところが器用というか、廉くんらしいというか。
ほんとどうしようもない…………けど。
「ふふっ」
廉くん、私に気づいた。
この広い会場で、私を見つけてくれた。
なぜかそんなことが嬉しくて、思わず笑顔が零れたのだった。