* KING *

箱の中

ドアを仕方なしに開ける。

「杏行くぞ。用意はもちろん出来てるな?」

はいはい、慌てないで…やっぱりそう来ましたね…呆れた顔を隠して、黙って荷物を持ち、ドアの鍵を閉めて先輩の後ろを歩く。

直ぐに先輩が手を出したので あっ?荷物を持ってくれるのかと思い渡す。

荷物を肩に掛け また手を出す先輩…

「荷物はそれだけです。」

「手をかせ。」

何で?と同時に手を捕まれ
捕らえられる。
これは…
いわゆる 手を繋いでる状態。

「お前逃げるから捕まえた。
大きな荷物だな…」

捕まえた、荷物って…何?

先輩はちょいちょい甘さと謎の行動をするから こっちサイドの感情はお構いなしだ。

「逃げてません。
息抜きをしただけですよ…」

小さい声で愚痴るけど 聞こえた様で…

「はぁ息抜きだ?俺はお前が居ないから 息が出来なかったんだぞ…」

そんなの知らないし、息が出来ない?

「ウソ付き。息が出来なかったんなら、死んでるはず。 何で今ここにいるんです?」

「お前なぁ…まぁ息抜きをするなとは言ってない。先ずは連絡しろ。」

ごもっとも…

「はい、すみませんでした。これからは先輩に連絡は必ずします。間接的にメールや、LINE、留守電を使って…」

「納得いかないが、次はないぞ…」

次 何か仕出かしたら 命が危ないことは間違いない…先輩がキレたら 恐ろしい事になるだろう事が 今回の件で十分に頭に刻まれた…

絶対逆らっちゃ駄目な人だ…ズルい。


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