無意確認生命体

「あはははは! 席替えしてそれじゃ報われんなー」


その日の放課後。花壇にて。


私の今日の一瞬の期待と、直後の絶望の話を聞いて、大笑いする志田少年。

「笑い事じゃないよ! 香川って方は、まだあのときも付き合いって感じだったけど、東堂は完全に主犯だもん。性格も喧嘩っ早い感じで、おっかないんだから!」

「大丈夫だよ。もうあいつらだって懲りてんだろ。それに、後ろにはハルミだっているんだろ?」

「うん……。まぁ、それが唯一の救いって感じだけど」

「なら問題ないさ。アイツって、喧嘩とかめっちゃ強いんだぞ。護身術みたいのもバリバリ修得してるし。オレ昔、何回か喧嘩したことあったけど、一回も勝ったことなかったもん。いっつもボコボコ。むこうが悪かろうが関係なし。こっちが謝るまで殴るのやめないの」

「え、嘘!? 意外……。私、浅瀬さんってすっごい穏やかな女の子ってイメージだったんだけど」

「ん? あー。最近は猫かぶってんじゃないの? 男が寄りつかんだろ。そんなツジみたいな感じだと」

さらっと非道いことを言う志田。

「美智を悪く言うな! この無礼者!」

「ん。悪く? 違うよ。逆じゃん? 自然体の方が良いって言ったんだよオレは。でも、アイツも年頃だからな。わからんでもないんだけどな。異性を意識っつーか、皮被ってんの見るのは、ちょっと嫌なんだよ。本性知ってるオレとしては」

「……ふぅ~ん。そういうのは兄妹いないから、私にはわかんないなぁ」


……異性を意識、か。

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