無意確認生命体
5月13日(木)

19.


あの忌わしい「親睦会」から、早一週間が経過していた。

早、と言ったものの、本当にまだ一週間しか経っていないのか。

あまりにもめまぐるしく濃密な出来事が起こりすぎたせいで、私はゴールデンウィークから、もうひと月近く経っているような錯覚に陥っていた。

今日まで。

今日でやっと終わるらしい。

もうこれ以上延期しようとか言い出したら、はっ倒してやる!



連休明けからこっち、美智はずっと初日通りの警戒態勢を、解こうとしなかった。

でも、それではさすがに私も息苦しかった。


私は柏木たちがもう懲りていることを確信していた。

なにせその後の柏木は、私が笑顔で声を掛けただけで顔面蒼白になり、子犬のように脅えたのだから。

その「しつけ」の効果がしっかり発揮されてることを確認する度、「笑顔」が、お腹から込みあがってくる、「笑い」に変わってしまわないよう耐えるのに苦労していたぐらいだった。

他の六人にも、「言いつけ」通りしっかり伝わっていたらしく、私は前後の席の男の子に脅えられながら授業を受けるという、妙な環境に置かれていた。

……早く席替えをしてほしい。

これじゃ、なんだか私が凄い悪女みたいに映るじゃないか。


そんなわけだから、この警戒態勢は、もうあんまり意味がないのだ。

もちろん、美智の気持ちは凄くありがたかったのだけれど。

そこで私は、一週間何事もなく過ぎるようなら、もう終わりにしてくれと、美智に頼み込んだ。

美智は渋々ながらも、なんとかそれを承諾してくれた。


――が、問題なのはそこじゃあなかった。

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