無意確認生命体
そして、私にとって地獄に近い一週間は今日でやっと終わりを迎える。

今はその昼休み。

この頃は志田が私たちと三人でお昼を共にするのが、もう当たり前の光景となっていた。

「ねえ、今日で、退部ってコトでいいんだよね?」

私はこの一週間でマメだらけにされた手で、菓子パンの袋を破きながら、美智に切り出した。

「しなくてもいい」

「無理。もう絶対無理! ついていけない。てゆうかなんで休みの日まで出させられるのさ? 身辺警護じゃなかったの?」

「己のためだよ雌舞希くん! 己を鍛えれば、あのようなチンケな男に屈することはなくなる!」

「それはもういいじゃん。アイツ、もう私にちょっかい掛けないでしょ? 話し合って和解したんだってば」

――と、いうことにしていた。

一応嘘ではない。

「なー、オレにはコレ。ツジが雌舞希いじめてるように見えるんだけど。これって気のせい?」

スポーツ飲料片手に面白そうに眺めている志田。

「気のせい」

「じゃない!」

やっぱりそうだ。

< 64 / 196 >

この作品をシェア

pagetop