無意確認生命体

美智のヤツ、あわよくばこれに便乗して私をテニス部に引っ張り込む気だ。

私は朝からずーっとこんな調子で美智に話をはぐらかされていた。

「だって、しぶちんがテニスしてる姿、メッチャ映えるんだもん! もったいない! ラケットを置くのはまだ早いよ!」

くっ! とうとう本性現したな! 妖怪ミッチー!

「嘘つき! 一週間でいいって言うから、それだけを望みに耐えてきたのに! しかも何だその理由は! あの地獄みたいなアンタのシゴキは何だったんだよ!」

「だ~か~ら~、己を鍛えるためだって。それと、あたしの愛の鞭。この心を鬼にして、しぶちんがワタワタするさまを楽し……、ゲフン! ゲフン! 我が身を削って鍛えてたわけさ! 実際、鍛わったでしょ? それを感じない!」

今なんか凄く酷いこと言いかけてなかったか?

「感じない! 感じてるのは筋肉痛と、マメが潰れた痛みだけ。今日行くのももう無理!」

「おいおい! それはないよしぶちん! アンタが右往左往しながらプラプラ揺らすポニーテールがなかったら、あたしは何を眺めてテニスすればいいのさ!」

わけわからん。

くそぉ……どこまでもしつこい。

このままじゃホントに言い負かされてしまいそうだ。


ってゆうか、そんなおっさんみたいな理由でやるなら、テニスなんてやめちまえぃ!

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