海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
前に知ちゃんから、

「硬式テニス部の中でも、相葉先生の人気は上がってるよ。」

…という事を聞いた。


話によると、特に積極的なのが中川加奈子だった。


2年生の時から気になっていたけれど、

特に最近は相葉先生と一緒に廊下を歩いている姿を見かける事が多かった。


『同じ部活の顧問と生徒だから仕方ないのかな。』


そう思うようにしていても、


『やっぱり相葉先生の事が好きなんだ!』

と、焦りを感じてしまうのもよくある事だった。


「ふぅーん…。」


中川加奈子の話を聞いた時、焦りを顔に出したくなくて強がりな返事をした事を今でもよく覚えている。


上級生がいなくなった今、以前のように因縁をつけられる事はなくなったけれど、逆にライバルの存在がハッキリとしてきた。


3年生になっても悩みが尽きない私は、


“前途多難”


そんな言葉がピッタリで。


けれど一つ違う部分を挙げるとするならば、


その“難”が、自分が思っている以上に多いという事。


それを私はまだ、知らない―…
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