海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「あ、さくちゃん元気ー?」


パソコン教室に入るなり声をかけてきたのは、1年生の時にクラスメイトだった井上琴美。

バスケ部に所属している彼女はスポーツ万能な体育会系で、いつもハキハキと元気で明るく、一緒にいて楽しい子だった。


「元気だよ。今日は琴美も練習?」

「うん、少し頑張ろうと思って。」


そう言って、琴美は同じく元クラスメイトのちひろとみゆきの3人と、私の斜め前の席に座った。


琴美とは1年生の時にすごく仲が良くて、カラオケに行ったりボーリングに行ったり、よく一緒に遊んでいた。


2年生になってからクラスが離れてしまったけれど、それでも休み時間になると


「さくちゃん!写真撮るからおいでー!」

と、大声で呼ばれては、ちひろやみゆき、瑞穂に梢、色んな友達と集団で写真を撮って遊んでいた。


本当に明るくて話しやすい、大好きな友達だった。


だけど…



「あっ、相葉先生!」


琴美は教室に入ってきた相葉先生にすかさず声をかけると、


「これあげる。」


そう言って、相葉先生にいくつかの粒チョコレートを手渡し、


「学校にお菓子を持ってくるなよ。」

と、相葉先生に怒られながらも



楽しげにじゃれあっているような…


なんか…


そんな感じがした―…



こうして私の心に引っ掛かっていたのにはワケがある。


琴美と相葉先生のこんな姿を見かける事が増えていたからだ。


もしも琴美が殆どの先生とこういう接し方をしていたら、私もそんなに気にならなかったのだけれど、

実際、他の先生とこんな風に仲良さげにしている姿を見た事はない。


だから…


相葉先生が話しやすいとか、そういう事じゃないと思っていた。


もしも私の勘が当たっているのなら、琴美も相葉先生が好きなんじゃないかって…

心の中には、そんな不安が芽生えていた。
< 138 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop