海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
それからは毎日のように、

得意気な顔をして相葉先生にまとわりつく加奈子の姿と、

放課後のパソコン教室で帰るギリギリまで相葉先生と話しまくる琴美の姿を見る度に、

私の心にはイライラが募っていく。


それ程、私が相葉先生と話す機会は無くなっていて、

いつも、

『私は一体、いつ相葉先生と話せばいいんだろう。』

そう、思っていた。


どう考えても他に話せそうな時間は、休み時間、昼休み、ライバルがいない時の放課後のパソコン教室位。


そもそもどの時間だって、いつも相葉先生がつかまるっていう訳では無かったし、

実際はもっと、もっと少なくて、とても悲しかった。


焦りや不安、友達への嫉妬を抱えながら過ごす生活がとても苦しいという事を、私は初めて知った気がする。


時々、瑞穂に付き合ってもらってワープロの練習をすると、


「さくの言う通り、琴美って相葉先生の事が好きっぽいよね…。」

と、瑞穂も言っていた。



加奈子と琴美と私。


“部活の顧問”という関係で、多分、この3人の中では加奈子がリードしてるような気がする。


うまく言えないけれど、“勢い”とか“ノリ”みたいな感じでは琴美かもしれない。


私は…


ただの“ガリ勉”になってしまったような気がしていた。
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