海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
“先生の特別になりたい。”


そう思い始めてから、どんどん時間ばかりが経っていく。


授業はちゃんと聞いてたけれど、本当は先生を見つめてばかりで、全然勉強には集中できていなかったのかもしれない。


『ちゃんとやらなくちゃ。』


授業中にふと、現実に戻る事が何度もあった。


まずは勉強を頑張らなくちゃ、相葉先生の特別にはなれないような気がしてならない。


それが今の自分に出来る唯一の事で、頑張るしかないんだって思った。


誰にも負けたくなかったから―…



「あのさぁ…。」


放課後、梢と瑞穂と3人で教室に残っていた時に、私は何気なく話しかけた。


思い切ってこの恋を、二人に打ち明けようと思ったからだ。



「んー?」


瑞穂も梢も、机に立て肘をついて、ちょっとぼんやりしながら空を眺めていた。



「私ね、相葉先生の事が好きになっちゃったみたいなんだぁ。」


私が思い切って言ったのに、


二人は「ふぅーん」って返事をしながら、


「知ってたよ。」


さも当たり前のように、二人ともあっさりと答えた。



…知ってた?



「いつから!?」


予想外の答えに、私はビックリして背筋が伸びた。


「そりゃ分かるよー。頻繁に相葉先生の所に通ってるし、パソコンと簿記の頑張りもハンパじゃないし。」


瑞穂はそう言うと、梢と顔を見合わせて「ねぇ。」と、笑っている。


二人ともとっくに気付いていて、いずれ私の方から打ち明けるだろうと黙っていたのだった。
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