海に降る恋 〜先生と私のｷｾｷ〜

廊下に出てみると、既に他のクラスの生徒達も廊下に出ていて、先頭のクラスから徐々に体育館へと進み始めていた。


友達同士で話している沢山の笑顔は、私にはいつもよりも神妙な表情に見えた。


他のクラスの生徒達に続き、私達も担任を先頭にして体育館へと歩き出した。


歩きながら、やっぱり自分も緊張している事を感じていた。



在校生や父母の沢山の拍手と吹奏楽部の演奏に出迎えられながら、体育館に入って行く。


入ってすぐに相葉先生の姿を探したが見つからなかった。


緊張の理由の一つに、


『ここに相葉先生がいる』


そう、思っていたからだと思うけれど、見つからなかった事で若干拍子抜けしてしまった。



きっと相葉先生を見ると、改めて自分が卒業する事を実感してしまうから。


『もう、これが私にとって最後の相葉先生の姿になるかもしれない。』


そんな現実を感じてしまうだろうから…。




卒業式は厳かに行われ、自分の名前が呼ばれた時に涙声になりながら立ち上がった生徒が沢山いた。


私も瑞穂も梢も、その内の一人だった。


その緊張感と寂しさの中で、


私達は本当に卒業するのだと、実感していた―…