海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「これから頑張れよ、仕事。」


相葉先生は座っていた椅子をクルリと回して、完全に私に向き直った。



「はい。」

私は涙を拭いながら頷き、



「先生、最後に聞いて…?」

そう言って、相葉先生を見つめた。



「うん。」


相葉先生も私を見つめた。


じっと見つめる相葉先生の視線が痛くって、


私は相葉先生から一度視線を逸らし、それからもう一度見つめた。




「私は…先生が好きです。やっぱりどうしても、どうしても好きなんです。先生は…どうしても私じゃだめですか?」



そう言うと相葉先生は困ったように、私に向けていた視線を落とした。


まるで、さっきの私のように。


だけど、その表情は固くて、辛そうで…


言わずとも、相葉先生が思っている事は伝わっていた。




「ごめん…。やっぱり応えられない…。」


そう言って相葉先生は顔を上げると、私を見つめた。


その表情には、迷いなんて一切無いように感じた。



私は目に涙を浮かべたまま「あはっ」と軽く笑うと、



「きっと、そう言うと思っていました。」


そう言って、精一杯の笑顔で答えた。



『もう、どんなに食い下がっても相葉先生の気持ちが変わる事はないだろう。』


私の心は、そんな想いでいっぱいだったけれど、


それでも、心の中の何かが、私を突き動かそうとしていた。
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