海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「えっ?もしかして、好きになったのって相葉だけ?」


驚きの表情をしている松井さんに、



「はい…。」


そう答えた私は、何となく居心地が悪くて、困った表情を浮かべたまま視線を落とした。



「…本気だったんだ?」


松井さんの質問に私は無言で頷いたけれど、落とした視線をもう一度松井さんに向けて口を開いた。


「だけど、今は違う人を好きになろうと思ってるんです。好きになれそうっていうか…ちょっと好きになった人がいるんです。」


「へぇ、どんな人?」


真剣に話す私の顔を、まじまじと見つめている松井さんに、


「あの、自動車学校の先生なんですけど…。」


そう言った途端、



「もしかして青山先生って人?」


「えっ!?」


松井さんに一発で当てられて、私はもっと驚いてしまった。



「もしかして、当たった!?」


またもや驚いている松井さんの表情には、笑いがプラスされている。


当たった事が、自分にとってもまさかの出来事だったらしい。



「はい!でも、どうして分かったんですか?」


自動車学校の先生なんて沢山いるにも関わらず、一発で当てられた事は私にとっても驚きすぎて、笑いが込み上げた。


「いや、私が自動車学校に通っていた時も、カッコイイ先生ってすごく有名だったんだよね。私は習った事がないんだけどね。」


「へぇー…。」


もう、驚きすぎて言葉も出なかった。


“青山先生はすごく有名”


そう、改めて思い知らされた気分だった。
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