いちごのきもち
§71:告白

私は今、きっと、一生分の勇気を振り絞って
ここに立っている。

「私も、ずっと友達でいいと思ってた。
 それは、川本くん自身が
 私を友達だと思っていたから」

「だから、だったら、私は友達でいたかった。
 ずっと、一生、これからも!」

世界にはいま、私とこの人だけしかいなくて
それでも地球は回っている。

「だけどね、友達のままだと、やっぱりダメなんだよ
 彼女が出来たり、彼女が出来たり、彼女が出来たりするの、
 そんなのもう、見たくない!」

「友達のままなら、友達のままでもいいの
 だけど、一度でいいから
 私のことで、あなたの頭をいっぱいにしてみたいって
 思った」

「だって、そんなこと、
なったこと、ないでしょ?」

あの人が、私を見下ろす目は
地球上の生物を見ている目じゃないけど
それでもいい。

「だから、一度だけでも
 その夢を叶えて
 終わりにしようと思う」

さっき、あなたが言ったみたいに
私にも、正直よく分からないんだ。
好きとか、つき合うとか、彼女とかって
どういうことなのか

「私ね、ずっと、どうしていいのか分からなかった。
 だから、なんにも出来なかった。
 なんにも出来なかったけど、
 でも、ずっとどうにかしたいと思ってた」

「多分、これからも、その気持ちは変わらないし
 私にもし、他に好きな人が出来たとしても
 きっと、ずっと、憧れの人だから」

こんなの、告白って言えるのかな?
でもこれが、私にとっての
精一杯の、あなたへの告白

「だから、ありがとう。
 あなたが今、どう思ってるかは
 知らないけど、
 私はもう、満足した。
 ずっと、思ってて、言えなかったことが言えて
 すっきりした」

「だから、ありがとう」

言い終わって、私はとてもさっぱりした気分で
見上げたこの人は、
やっぱり変な顔をしてた。

「これからは、友達じゃなくてもいいから
 話しかけなくてもいし、相手にしなくてもいいし
 だけど、できれば嫌いにはならないで
 今まで通り、普通にしてて」

本当は、そんなこと微塵も思ってないけど
でも、そんなことまでは言えない。

「そしたら私もきっと
 ずっと、普通でいられるから」

友達のままでいたかった。
いつまでも、この人と笑っていたかった。
だけど、それが許されないのなら
もう終わりにしよう。

「ね?」

だけど、さみしいから
いま言ったそれだけは、
約束しておいてほしいんだ


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