To be alive again

休みの日、出不精の彼は特に用事が無ければ家に居る。

それは翠と過ごす時でもあまり変わらなくて、食料品の買い物する以外は二人で家に篭って過ごす。

デートらしいデートはあんまりしたことがないけど、特に不満は無かった。

高校生の頃だったらいざ知らず、大学に行ってから翠もすっかり出不精に転身してしまっていたから。

翠は一緒に居れたら何でも良いから、いつも彼の傍でごろごろしてる。

本を読んでる彼にくっついてるのが好き。

彼の読んでる本の中身は全く判らないけど、くっついてると猫を撫でるように撫で撫でしてくれるから。

だからいつも側に寄り添って、暖かくて気持ちいい彼の腕の中に居る。

あと、彼の部屋にあるたくさんの本の中から判りそうな本を探し出すのも、一種のゲームのような感覚でやっている。

彼は、翠が本をあさっても特に怒ったりしないから。

小学生向けの絵本みたいな相対性理論の本もあった。

その薄っぺらさと、シンプルな絵柄でちょっとは判るかと思ったら、やっぱりちんぷんかんぷんだった。

やっぱり翠の頭は物理を理解できるように出来ていないらしい。

やっぱりと言うのは、実は昔、彼の授業をこっそり聴いたことがあったから。

その時も全然判らなかったのだ。
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