To be alive again


—————

高校生3年生の3学期は受験のため自由登校。

用事があって学校に行った時に、彼の声が聞こえて…翠は息をのんだ。

こんな形で聞くことができるなんて。

声に誘われるようにふらふらと誘い寄せられたのは、地学室。

2人きりの物理実験準備室で話す時の静かで低い声と違って、教室全部に響く張りのある声。

与える印象はだいぶ違ったけれど、紛れもなく、聴きたいとずっと思っていた…彼の声。

物理に縁のない翠には、ワケの判らない話だった。

だけど内容なんて全然関係なく、大好きな彼の声に胸が震えて、翠の全神経は彼の声を聞くことだけに…集中していた。

それ以来…行けそうな時は学校に行くようになった。

彼の声を、こっそり聞くために。

声にだけでも…会いに行くために。
< 33 / 97 >

この作品をシェア

pagetop