To be alive again
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高校生3年生の3学期は受験のため自由登校。
用事があって学校に行った時に、彼の声が聞こえて…翠は息をのんだ。
こんな形で聞くことができるなんて。
声に誘われるようにふらふらと誘い寄せられたのは、地学室。
2人きりの物理実験準備室で話す時の静かで低い声と違って、教室全部に響く張りのある声。
与える印象はだいぶ違ったけれど、紛れもなく、聴きたいとずっと思っていた…彼の声。
物理に縁のない翠には、ワケの判らない話だった。
だけど内容なんて全然関係なく、大好きな彼の声に胸が震えて、翠の全神経は彼の声を聞くことだけに…集中していた。
それ以来…行けそうな時は学校に行くようになった。
彼の声を、こっそり聞くために。
声にだけでも…会いに行くために。