Only Three Months
SIR
「…マイク」
「ん?」
「マイクに話しておきたい人がいるの」


日記を書こうとテーブルに座ってたオレの向かいに、
アリーがそう言いながら座る。
たぶんメモは取らないんだろうけど、日記を開く。


「きっと、マイクを助けられる人よ」
「オレ? アリーじゃなくて?」
「マイクを助けることが私を助けることにもなるの」


一体、誰なんだろう。
アリーの知り合いだから、オレが知るわけないけど。


「その人はね、王族じゃないの。
 でも、私のことをよく分かってくれる人よ」
「どういうこと?」
「アルバート城に住んでいるの」


…なるほど。
確かに、王族じゃないし、きっと国王にも会うことがないんだろう。
アルバートの人間がヴィクトリアの人間と関わることはほとんどない。
この国の歴史が、そうさせている。

今のヴィクトリア王国は、もともとあったヴィクトリア王国と、
隣にあったアルバート王国から成り立っている。
旧アルバート王国の王位継承者は、全員ヴィクトリアの軍隊に殺されて、
その関係者や親戚が今も城に住んでるって噂だ。

旧アルバート王国の話は禁句に近い。
誰も話そうとしないし、興味も持ってないんだと思う。
歴史の授業で少しだけ登場するのみ。


「アルバートの王族関係者ってことか?」
「私もあまり詳しいことを聞いてないの。
 でもそうだと思う」


アリーも詳しく知らないのか。
むしろ、アリーは知らない方がいいのか?
敵国だったわけだから。

でも、アリーはその人がオレを救うと思ってる。
その人をこれから頼ろうとしてる。


「王族だと私としか話さないの。
 お父様がアルバート城に行くことはないから安心でしょ?」
「確かに」


完全に安心できるわけじゃないけど、味方ができるのはいいこと。
まして、アリーがすでに信用してる人なら。


「電話、貸して?
 番号覚えてるの」

番号を打つ手がすごく速かった。
電話し慣れてるのか、それとも電話しづらい環境だったのか。
後者だろうな。

スピーカーから声が聞こえるようにする。
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