Only Three Months
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「マイク! アリス!」
「おはよう」


エドと一緒に、いつも通りに登校する。
教室に入ると、それを見計らったように、声がする。


「オレ、昨日アリスと遊んだんだ!」
「え」


アリスが振り返ってその男を見る。
オレとエドは、互いに見合わせてから、次の一手を待つ。
クラス中に響く声で、全員の目線がその男に向いたと言っても過言じゃない。


「オレも遊んでもらったもんねー」
「アリス、可愛かったんだ」
「みんなにも見せてやりたかったなぁ」


他の男も同調して、アリスの方へ。
特に男子の視線を集めながら、アリスを取り囲むように近づいて。


「アリス、今日も可愛いね」
「…ありがとう」


昨日、アリスに抱き着いてたヤツが、今日もアリスに一番に触れる。
肩に手を載せて、顔を近づけようとしてて。


「…いやっ!」


アリスの声を聞く前に、身体が動いてしまってた。
教室に来てから、まだ座ってはなかったから、アリスを引き寄せるのは簡単で。

オレが手を出すと厄介だって分かってたのに。
でも、アリスが他の男に近づかれるのを見てられなかった。
がっちりとアリスの肩を持って。
家で抱き寄せてるよりも力が入ってる。


「なんだよ、マイク。刃向うのか?」
「アリスに手を出すなら、そうだな」
「昨日もう遊んだって言ったろ?」
「あなたとは未遂だったわ」


アリスが、口を開いた。
さっき、男に近づかれて身をすくめてたのが嘘みたい。

エドが、オレの後ろに立ってくれたのが分かる。
オレは、正面の男たちしか見てないから。


「あなたに無理やりされそうになったのを、マイクとエドが助けてくれました」


…“姫”っぽい。
みんなに知らしめるために、ゆっくり発音して。
アリスが男たちに突き付ける。
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