Only Three Months
OVER
いつも通りの朝なはずなのに、胸騒ぎがする。
全然落ち着かない。


「…マイク?」


家を出る前に、オレがいつもと違うのに気付いて振り向いてきたアリー。
腕を引いて、思いっきり抱きしめる。


「ん、マイク?」


顔を見てくるアリー。
見なくていいから。
何も、聞かなくていい。

唇を塞ぐ。
突然で驚いてるのが分かるけど、抱きしめ返してくれた。


「行こう」


アリーに、オレの気持ちを悟られたくはない。
たぶん、もう気付いてるんだろうけど。

でも、離れるって分かってて、好きとは伝えられない。
ずっと一緒にいたいなんて、アリーが城に戻ったら再会するのさえ不可能。

この胸騒ぎは、一体何だ?
エドと合流していつも通りを装って教室へ。


「マイク、大丈夫?」
「分からない」


エドに聞かれたから、答えた。
なんでこんなにも落ち着かないのか。

…その答えは、担任が持っていた。


「今日は、政府の方がみなさんの授業を見学されます。
 優秀なモデル校としての視察です。
 みなさん、普段通り、授業を受けていてくださいね」


ざわつくクラス。
名目上は、視察だろうけど、間違いなく“アリシア”が紛れてないか確認する作業だ。

アリスが、切り抜けられたらいい。
オレたちの席は一番後ろ。
字を見られたら、分かってしまうかもしれない。

サーにメールを打とうとしたら、1通。


「私も庶民学校へ行くことになっている。
 普段通りしていなさい」


サーも来るんだ。
少し、ざわつきが減った。
…減った?

サーが来る安心感と、政府の視察が来る不安。
どっちが勝つわけでもなく。
ただひたすらに、見つかりませんように。
< 72 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop