Only Three Months
TRUTH
役人たちは全員、アリーと一緒に出ていったのに、サーは残ってた。


「…マイク、それから君、荷物をまとめて一緒に来てくれ」


サーが、オレとエドを呼んだ。
アリーも荷物も片づけて、サーについていく。
運転手に挨拶する間もなく、車は学校を出た。


「…あの、なんで僕もなんですか」
「マイクと仲良く見えたからだ。違うか?」
「エドには、アリーのことを話してあります」
「そうだろうな」


助手席のサーが、わざわざ振り返って話してくれる。
近くで見るほど、オレが覚えてる父親のおもかげに似てる気がする。
あまりはっきりと覚えてないからなんとなくではあるけど。


「ジャクソン・リリーだ。
 サーと呼んでくれ」
「エドワード・ケリーです」
「そうか、君がケリーか」
「知ってるんですか?」
「…着いてから話す。
 私が知っていることを全て、話そう」


サーが前に向き直る。
これ以上質問するなってことだろう。

オレは窓の外を見て、流れてく景色を見てた。
ヴィクトリアの中心部とは違って、自然が多い。

外の景色に集中でもしなかったら、すぐに頭がアリーでいっぱいになる。
帰って何をされるのかを考えるだけで、力が入ってしまう。

アルバート城の敷地内に、車は入っていく。
玄関に横付けされて、あわてて下りる。
どんどん進んでいくサーについて行って。


「この部屋で待っていなさい」


食堂だと思われる部屋に通されて、エドと隣同士に座る。
自分で自分の手を握って、力の入るのを誰にも見えないように。


「…母さん! 何でここに?」
「え?」


エドの声で、顔を上げた。
飲み物を運んできてくれたのは、エドの母親。
オレの前に置かれたのは、オレがいつも飲むアップルティーで。
エドの父親も奥から現れる。


「え、旅行中でしょ?」
「全部、サーが話してくれるわ」

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