ぜんぶ抱きしめて。〜双子の月とキミ〜


「うん……朔ね、入院してる。原因はわからないって。昨夜は意識がなかったけど、今はわからない。あ、もしかしてお見舞い来てくれるの? お母さんにどういう状況か確認してみようか」


沈黙が怖くて、ぺらぺらと早口で話した。けど想史は、少しの間返事をしないで私を見つめていた。

ど、どうしたんだろう……。居心地の悪さを感じ、身が縮こまっていく。


「もちろん、朔の状況は気になる。お見舞いも行くに決まってる」

「じゃあ、ちょっと電話してみ……」


電話してみるね、と続ける前に携帯を持った手をつかまれてしまった。何が起きたのかわからず、ただ想史を見上げる。


「それはそれとして、瑠奈は昨夜どこにいたの?」

「えっ?」

「電話かかってきたの、八時過ぎてたけど。そんな遅くまでどこ行ってたんだよ?」


責めるような口調に、鼓動が早くなる。


「コンビニ行って……た」


そのあと朔と喧嘩して、公園でふて寝してたなんて言えない。その夢の中であなたと素敵な恋をしていたなんて、ますます言えない。


「どうしておばさんの電話に出なかったんだよ。おばさん、本当に心配してたんだ。変な仲間と付き合ってるとか、そんなんじゃないよな?」


変な仲間って、どんな仲間よ。その言い方じゃ、まるで私が非行に走ってるみたいじゃない。


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