ネコからの恋文
丸めてある紙を広げると、ちょうど掌くらいになった。

よく見ると、字が書いてある。

しかも全部片仮名。
犯行声明かっつーの。


読んで、いいよね?
だって、猫が持ってきたんだもの。


「おいで、猫」

あたしは猫を部屋に招き入れ、紙切れを明るいところでじっくり拝見することにした。


えーっと何々?

ミヤ……ビ


ってあたしじゃん!!

ちょっと、いきなし重大事実発覚?

あたしは急にドキドキして、紙を持つ手が震えてきた。


ま、とりあえず先を読まなきゃね。

落ち着け、あたし。


アスゴゴサンジ、ミナミエキマエノ〇〇〇デマツ
キテホシイ


なんじゃそりゃ?
いわゆる、デートの誘いってヤツ?


それにしても、やけに風流なナンパをするやつ。

まさか、夏川くん、じゃないよね。


なんか、期待して馬鹿みたい。


は、とあたしは思わず笑ってしまった。


なんか、これじゃまるで猫にデート申し込まれたみたいじゃない。

変なの。


ってゆぅかこの人、名前書き忘れてますよぅ。


馬鹿馬鹿しくなって、猫につまみのスルメをあげながら、何気無く手紙を裏返したその時。
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