檸檬の約束
タイトル未編集
昨日、同棲中の彼氏と大喧嘩した。

「もういい、出ていく」

財布と携帯だけ持って家を飛び出した。

私が向かったのは行きつけのバーだった。

二人で行ったこともあるこの『bran』に来たのは探して欲しかったからじゃない。

「月弥のバカ。」

グラスを重ねていく。

今日はいつもよりハイペースだ。

「もうそろそろ止めておいた方がいいよ。」

マスターは何も言わなくても喧嘩したことが分かっているようだった。

夜の世界に生きる人たちは感覚が鋭敏だ。

「今日は帰らない。」

「もう帰ってやらないんだから。」

「困ったね・・・。」

暗がりの店内にはカウンターの奥に一人男性が飲んでいるだけだった。

それから何杯飲んだ解らない。

気が付くと、私はソファで寝ていた。
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