その王子様、結婚してるってよ!
「あ、あの…」
「ごめんね、この子はダメなんだ。
俺のだから。」
私も気になってました…その言葉は、誰かの声にかき消された。
ガラリとその場に入ってきた人は私の手を握り、早々とその場を後にした。
えっ……稜ちゃん?
廊下に出ると、苦笑いの兄達。
ひらひら手を振る秋兄と呆れた表情の捺兄。
ズンズンと歩く稜ちゃんに引っ張られやって来たのは稜ちゃん家。
久しぶりに入った稜ちゃんの部屋は、相変わらず綺麗ではなくて乱雑に書類が置かれている。
完璧な稜ちゃんは、片付けが苦手だったなぁ〜と。
苦手なことを知ってることに優越感。
「春…今から、春を俺のものにする。
異論は受け付けない。
春…俺のものになって…」
そう言って、稜ちゃんは私を押し倒した。
初めて見る稜ちゃんの苦悶の表情。
初めてのキスは、舌と舌が絡み合う濃厚なもの。
初めて触られた体は熱くて、稜ちゃんの手と舌が優しかった。
初めての行為は怖くて痛くて…
でも私、なんの抵抗もできなかった。
いや、しなかったんだ。
こうして、私は初めてを全部稜ちゃんに捧げた。