難攻不落な彼に口説かれたら
13、気分は爽快 ー 仁side
『これで借りは返したから』

納会の会場で拓海が俺にそう言った時、何を企んでいるのかはだいたい予想がついた。

あいつが雪乃にシャンパンを差し出した時から、彼女を酔わせるって魂胆はみえみえ。

俺も面白そうだと思ってあえて拓海を止めなかった。

最初は雪乃と一緒に食べて話をしていたが、そのうちお互い同僚や幹部に声をかけられ別行動。

だが、彼女の酔い具合が気になって、常に視界にはいれていた。

社会人になっても男女共に慕われている雪乃は、多くの社員に話しかけられていた。

女子社員なら安心していられるのだが、男子社員となると心中穏やかではいられない。

酒が入って馴れ馴れしく雪乃の肩に手を置く輩がチラホラ。

そんな奴らに鋭い視線を向ければ、後ろでククッと笑い声がした。
< 242 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop